ヨハネ 9
1 さて、イエスはオリーブ山に行かれた。
2 そして、朝早く、イエスはまた神殿の敷地に来られた。そして、民衆のみんなはイエスの所に来た。イエスは座り、彼らを教えられた。
3 そして、律法学者たちとパリサイ派の人たちは、姦淫の現場で捕らえられた女をイエスの所に連れて来た。そして、彼女を真ん中に立たせ、
4 彼らはイエスに言った。「先生、この女は姦淫している現場で捕らえられました。
5 それで、モーセは私たちに律法で、そういう人は石投げの刑にせよと命じました。ですが、あなたは何とおっしゃるのですか。」
6 これは、彼らはイエスを試みて訴える理由を得ようとしてこう言ったのである。しかし、イエスは、聞いていないふりをしてしゃがんで、指で地面に書かれた。
7 それで、彼らは問い続けると、イエスは身を起こし、彼らに言われた。「あなたがたの中で罪のない者は、まずこの女性に石を投げつけなさい。」
8 そして、イエスはもう一度身を屈めて、地面に書かれた。
9 そして、それを聞いた者たちは、自分たちの良心に罪を認めさせられ、最年長の者たちから始めて一人ずつ、最後の一人まで去ってしまった。それでイエスは一人残され、女は真ん中に立っていた。
10 イエスは自ら身を起こし、女以外に誰もいないのを見て、彼女に言われた。「婦人よ、あなたを訴えるあの者たちは、どこにいますか。誰もあなたを罪に定めなかったのですか。」
11 彼女は言った。「主よ、誰もいません。」イエスは彼女に言われた。「わたしもあなたを罪に定めません。行きなさい。そして、もう罪を犯さないでいなさい。」
12 それで、イエスはまた彼らに話しかけて言われた。「わたしは世の光です。わたしに従う者は決して暗やみを歩まず、命の光を持つのです。」
13 それで、パリサイ派の人たちはイエスに言った。「あなたはあなた自身について証言をしています。あなたの証言は、真実ではありません。」
14 イエスは彼らに答えて言われた。「わたしはわたし自身について証言をしても、わたしの証言は真実です。わたしは自分がどこから来たのか、そしてどこへ行くのかを、知っているからです。しかし、あなたがたは、わたしがどこから来るのか、そしてどこへ行くのかを知りません。
15 あなたがたは、肉に従って裁いています。わたしは自ら誰も裁きません。
16 しかし、もしわたしも自ら裁けば、わたしの裁きは真実です。わたしは一人ではなく、わたしはわたしを遣わした父と一つだからです。
17 また、二人の証言は真実である、とあなたがたの律法に書いてあります。
18 わたしが、わたしのことを証言している本人であるし、わたしを遣わした父もわたしについて証言をしています。」
19 それから、彼らはイエスに言った。「あなたの父はどこにいますか。」イエスは答えられた。「あなたがたは、わたしをもわたしの父をも知りません。もしわたしを知っていたなら、わたしの父をも知っていたに違いありません。」
20 イエスは、神殿の敷地で教えた時に、献金箱のある所でこれらの言葉を言われた。そして、イエスの時はまだ来ていなかったため、誰も彼を捕らえなかった。
21 それで、イエスはまた彼らに言われた。「わたしは行きます。しかしあなたがたはわたしを捜しますが、自分たちの罪のままに死んでしまいます。あなたがたは、わたしの行く所には来ることはできません。」
22 そこで、イエスは、「あなたがたはわたしの行く所には来ることはできません。」と言われたので、「あの人は、まさか自殺をするつもりではないでしょうね。」とユダヤ人たちは言った。
23 それで、イエスは彼らに言われた。「あなたがたは下から出て、わたしは上から出てきました。あなたがたはこの世からの者です。わたしはこの世からの者ではありません。
24 だから、わたしはあなたがたに言いました。『あなたがたは、自分たちの罪のままに死んでしまいます。』もしあなたがたはわたしが、『わたしはある』①ということを信じなければ、あなたがたは、自分たちの罪のままに死んでしまいます。」
25 それで、彼らはイエスに言った。「あなたは誰ですか。」そしてイエスは彼らに言われた。「最初からあなたがたに話していることです。
26 わたしは、あなたがたについて多くのことを言ったりさばいたりすることがあります。しかし、わたしを遣わした方は真実です。そしてわたしは、その方から聞いたことを世に話しています。」
27 彼らは、イエスが御父のことを彼らに言われたことが分からなかった。
28 それから、イエスは彼らに言われた。「あなたがたは人の子を高く上げてしまった時、あなたがたはその時、『わたしはある』ということ、そして自分勝手にわたしは何もしないということが分かります。ただわたしの父がわたしに教えたように、わたしは話しています。
29 そして、わたしを遣わした方は、わたしと共におられます。父はわたしを一人にされませんでした。なぜなら、わたしはいつも父が喜ぶことを行なっているからです。」
30 イエスがこれらのことを言われた時、大勢の人はイエスを信じた。
31 それから、イエスはご自分を信じたユダヤ人たちに言われた。「もしあなたがたが、わたしの言葉にとどまれば、あなたがたは本当にわたしの弟子です。
32 そして、あなたがたは真理を知り、また、真理はあなたがたを自由にします。」
33 彼らはイエスに答えた。「私たちはアブラハムの種で、決して誰かの奴隷にされたことはありません。『あなたがたは自由になる。』と、いったいどうやって言えるのでしょうか。」
34 イエスは彼らに答えられた。「まことに、まことに、あなたがたに言います。すべて罪を犯す者は、罪の奴隷なのです。
35 そして、奴隷はいつまでも家に住むのではありません。子はいつまでも住んでいます。
36 だから、もし子があなたがたを自由にすれば、あなたがたは間違いなく自由になります。
37 あなたがたはアブラハムの種であることをわたしは知っていますが、わたしの言葉は、あなたがたの中に居場所がないので、あなたがたはわたしを殺そうとしています。
38 わたしは、わたしの父のもとで見たことを話しています。ところがあなたがたは、自分たちの父のもとで見たことを行なっています。」
39 彼らは答えて、イエスに言った。「私たちの父はアブラハムです。」イエスは彼らに言われた。「アブラハムの子どもなら、あなたがたはアブラハムの業を行なうはずです。
40 しかし、あなたがたは今、あなたがたに神から聞いた真理を教えた人であるわたしを殺そうとしています。アブラハムは、こんなことはしませんでした。
41 あなたがたは、あなたがたの父の業を行なっています。」そのために、彼らはイエスに言った。「私たちは性的な罪によって生まれたのではありません。私たちは神である唯一の父を持っています。」
42 それで、イエスは彼らに言われた。「もし神があなたがたの父なら、あなたがたはわたしを愛しているはずです。なぜなら、わたしは神から出て来て、そしてここに来ました。わたしは自分から来たのではなく、神がわたしを遣わされたからです。
43 あなたがたは、どうしてわたしの話を理解していないのですか。あなたがたは、わたしのメッセージが聞こえないからです。
44 あなたがたは、あなたがたの父、つまり悪魔から出たのであり、その父の欲望を実行しようとしています。悪魔は初めから人殺しであり、その内には真理がないので、真理に立たなかったのです。悪魔が嘘を言う時、自分自身から出たことを言っています。なぜなら、悪魔は嘘つきであり、嘘そのものの父親だからです。
45 しかしわたしは真理を言うから、あなたがたはわたしを信じません。
46 あなたがたのうちの誰が、わたしを罪に定めますか。もしわたしが真理を言っているなら、わたしを信じない理由は何ですか。
47 神からの人は、神の言葉を聞きます。だから、あなたがたは聞き従わないのは、あなたがたは神からの者ではないからです。」
48 それで、ユダヤ人たちは答えて、イエスに言った。「あなたはサマリヤ人で、悪霊を持っていると、私たちは正にそう言っているではないか。」
49 イエスは答えられた。「わたしは悪霊を持っていませんが、わたしは自分の父を尊ぶのです。しかし、あなたがたは、わたしを尊びません。
50 そして、わたし自身は、自分の栄光を求めていません。それを求め、裁かれる方がおられます。
51 まことに、まことに、あなたがたに言います。誰であれわたしの言葉を守れば、その人は決して永遠に死を見ることがありません。」
52 そのために、ユダヤ人たちは彼に言った。「あなたは悪霊を持っていることが今、分かった。アブラハムや預言者たちは死んだのに、あなたは、『誰であれわたしの言葉を守れば、その人は決して永遠に死を味わうことはありません。』と言っている。
53 あなたは、すでに死んでしまった私たちの父祖アブラハムより偉いのか。預言者たちも死んでしまった。あなたは、何様になろうとしているのか。」
54 イエスは答えられた。「もしわたしが栄光を自分のものとすれば、わたしの栄光はむなしいものです。わたしに栄光を下さる方は、あなたがたが自分たちの神だと言っている、わたしの父です。
55 しかし、あなたがたは、その方を知りませんでしたが、わたしはその方を知っています。そして、もしわたしがその方を知らないと言えば、あなたがたのように嘘つきになってしまいます。しかし、わたしはその方を知っており、その御言葉を守っているのです。
56 あなたがたの父アブラハムは、わたしの日を見るのを大いに楽しみにし、そして、彼は見て、喜んだのです。」
57 それで、ユダヤ人たちはイエスに言った。「あなたはまだ五十歳にもなっていないのに、アブラハムを見たのか。」
58 イエスは彼らに言われた。「まことに、まことに、あなたがたに言います。アブラハムが存在する前から、わたしはいます。」
59 それで、ユダヤ人たちは、イエスに投げつけるために、石を取り上げた。しかし、イエスは姿を隠し、群衆の中を通りぬけて神殿の敷地を出られた。このようにして立ち去って行かれた。