ヨハネ 21

1 週の最初の日の朝早く、まだ暗いうちに、マグダラのマリヤは岩穴の墓に行き、石が墓から取り外されているのを見た。
2 そこで、マリヤは走って、シモン・ペテロとイエスが愛されたもう一人の弟子の所に行って、彼らに言った。「彼らは主を墓から取り出してしまいました。彼らが主をどこに置いたのか、私たちにもわからないのです。」
3 それで、ペテロとそのもう一人の弟子は出て行き、墓に向っていた。
4 そこで、二人は共に走り出したが、もう一人の弟子が、ペテロより速く走って、先に墓に着いた。
5 そして、かがんで見ると、亜麻布が置いてあった。しかし、彼は中に入らなかった。
6 そこで、シモン・ペテロが彼について来て、墓の中に入り、置いてあった亜麻布を見た。
7 そして、イエスの頭部に置いてあった布は、亜麻布と共に置かれていたのではなく、別の所に巻かれたまま、置いてあった。
8 そこでその時、先に墓に着いたもう一人の弟子も墓に入った。そして、彼は見て、信じた。
9 なぜなら、彼らは、イエスが死人たちの中から復活しなければならないという聖句をまだ理解していなかったからである。
10 それで、弟子たちはまた自分たちの所に去って行った。
11 しかし、マリヤは墓の外に立って泣いていた。そこで、彼女は泣きながら、身をかがめて墓の中を見た。
12 そして、イエスの遺体を横たえていた所に、彼女は、白い服装をした二人の御使いが座っているのを見た。一人は頭の所に、もう一人は足の所にいた。
13 そして、彼らはマリヤに言った。「ご婦人よ、なぜ泣いているのですか。」マリヤは彼らに言った。「あの人たちは私の主を持ち去り、彼らは主をどこに置いたのかはわからないからです。」
14 マリヤはこれを言い終わり、後ろを振り返って、イエスが立っているのを見たが、イエスであると気づかなかった。
15 イエスはマリヤに言われた。「婦人よ、なぜ泣いているのか。だれを捜しているのか。」彼女は、イエスが庭師かと思って、彼に言った。「だんな様、もしあなたはあの方をここから運び去ったなら、どこに置いたかを私に教えてください。そうしたら、私があの方を取りに行きます。」
16 イエスは女に言われた。「マリヤよ。」彼女は振り向き、イエスに言った。「ラボニ」、すなわち「先生」という意味である。
17 イエスはマリヤに言われた。「わたしはまだ父の所に昇っていないから、わたしに触れてはいけません。しかし、わたしの兄弟たちの所に行って、『わたしは、わたしの父とあなたがたの父に、またわたしの神とあなたがたの神の所に昇ります。』と彼らに言いなさい。」
18 マグダラのマリヤは行って、自分が主を見たこと、そして主はこれらのことを自分に話されたと、弟子たちに言った。
19 さて、その日は週の最初の日の夜であった。ユダヤ人への恐れのため、弟子たちは集まっていた所のドアが閉じておいたが、イエスは入って来られ、彼らの中央に立ち、彼らに言われた。「あなたがたに、平安がありますように。」
20 そして、イエスはこう言われると、彼らにご自分の手と脇をお見せになった。それで、主を見て弟子たちは喜んだ。
21 それで、イエスはまた彼らに言われた。「あなたがたに平安がありますように。父がわたしを遣わしたように、わたしもあなたがたを遣わします。」
22 そして、イエスはこのことを言われ、弟子たちに息を吹きかけ、彼らに言われた。「聖霊を受け入れなさい。
23 あなたがたが赦すと、誰の罪にしても、その人たちの罪は赦されます。あなたがたがそのままにしておくと、誰でもその人たちの罪はそのまま残ってしまいます。」
24 しかし、十二人の一人で、デドモ①
25 それで、他の弟子たちは彼に言った。「私たちは主を見たのだ。」するとトマスは彼らに言った。「主の御手の釘の跡を、もし見なければ、また指を釘の跡に入れなければ、また手を主の脇に差し入れなければ、私は決して信じない。」
26 そして、八日後①
27 それからイエスはトマスに言われた。「あなたの指をここまでおき、わたしの両手を見なさい。そして、あなたの手を伸ばし、わたしの脇に入れなさい。そして、信仰のない人にならないで、信仰のある人になりなさい。」
28 それで、トマスは答えて、イエスに言った。「私の主、私の神。」
29 イエスは彼に言われた。「トマスよ、あなたはわたしを見たので、信じたが、見ないでも信じる人たちは祝福されているのです。」
30 さて、イエスはこのほかにも、ご自分の弟子たちの前で多くのしるしを確かに行なわれた。それらはこの本に書かれていない。
31 しかし、これらのことが書かれてあるのは、イエスがキリストであり、神の御子息であることをあなたがたが信じるように、また信じた上で、イエスの御名によってあなたがたが命を持つようになるためである。