ヨハネ 20
1 そこで、ピラトはその時イエスを捕らえさせ、イエスを鞭で打たせた。
2 そして、兵士たちはいばらで冠を編み、イエスの頭上にかぶらせた。そして、彼らはイエスに紫の上着を着せた。
3 そうして、兵士たちは、「おめでとう、ユダヤ人の王よ。」と言って、イエスを平手で打った。
4 そこで、ピラトはまた出て行き、彼らに言った。「見よ、私はこの人に何の不法行為も認め得ないので、お前たちにわかるように、お前たちの前に連れて来た。」
5 それで、イエスはいばらの冠をかぶり、紫の上着を着たまま出て来られた。そしてピラトは彼らに言った。「見よ、この男だ。」
6 そこで、その時、大祭司たちや下役人たちはイエスを見ると、叫んで言った。「十字架につけろ、十字架につけろ。」ピラトは彼らに言った。「お前たちがイエスを連れて行き、十字架につけよ。なぜなら、私はこの人に不法行為を認め得ないからだ。」
7 ユダヤ人たちは彼に答えた。「私たちには律法があります。そして、私たちの律法によれば、彼は死ぬべき者です。それは、自らを神の御子息にしたからです。」
8 それで、ピラトはその言葉を聞いたとたん、ますます恐れた。
9 そして、彼はまた官邸に入り、イエスに言った。「あなたはどこから来たのですか。」しかし、イエスは彼に返事をされなかった。
10 そうすると、ピラトは彼に言った。「私に話さないのか。私は、あなたを十字架につける権威もあれば、放免する権威もあるのを知らないのか。」
11 イエスは答えられた。「もしそれが上からあなたに与えられたのでなければ、わたしに対して何の権威も持つことはありませんでした。したがって、わたしをあなたに引き渡した者の方こそ、もっと重い罪があります。」
12 この時から、ピラトはイエスを放免する道を探したが、ユダヤ人たちは叫んで言った。「この男を放免すれば、あなたはカイザル様の味方ではありません。すべて自分を王にする者は、カイザル様に反対を唱える者です。」
13 それで、ピラトはその言葉を聞くと、イエスを連れ出し、「敷石」と言われる(ヘブライ語でガバタという)場所で裁判の座についた。
14 そして、当日は過越祭の準備の日であり、第六時間目ごろ①
15 しかし、彼らは叫んだ。「連れて行け、連れて行け。彼を十字架につけろ。」ピラトは彼らに言った。「お前たちの王を私に十字架につけよと言うのか。」大祭司たちは答えた。「私たちには、カイザル様以外の王はいません。」
16 そこで、十字架につけるために、ピラトはイエスを彼ら①
17 そして、イエスはご自分の十字架を背負って、ヘブライ語でゴルゴタ、すなわち「どくろの地」と言われている所へ向かわれた。
18 その場所で、彼らはイエスを十字架につけたが、イエスと共に他の二人を両側に、イエスを真ん中にした。
19 そして、ピラトは罪状書を書き、十字架にかけた。そして、そこには、「ナザレのイエス、ユダヤ人の王」と書かれてあった。
20 イエスが十字架につけられた場所は町の近くにあり、そして、ヘブライ語、ギリシャ語、ラテン語で書かれてあったので、大勢のユダヤ人はこの罪状書を読んだ。
21 それで、ユダヤ人の大祭司たちはピラトに言った。「『ユダヤ人の王』と書かないで、『自分はユダヤ人の王であると彼は言った。』と書いてください。」
22 ピラトは答えた。「私が書いたことは、私が書いたのだ。」
23 そこで、兵士たちはイエスを十字架につけると、イエスの衣服を取り、四つの部分に分け、兵士たちはそれぞれを一つずつ分けた。イエスの内側の衣もあったが、内側の衣には、縫い目がなく、上からすべてが一つに織った物であった。
24 そこで、彼らは互いに言った。「私たちはこれを裂かないで、誰の物にするか、くじで決めよう。」これは、「彼らはわたしの衣服を自分たちの間に分け、わたしの上着のためにくじを引いた。」という聖書が成就するためであった。ゆえに、兵士たちはこれらのことを行なったのである。
25 さて、イエスの母と、彼の母の姉妹であるクロパの妻マリヤと、マグダラのマリヤは、イエスの十字架のそばに立っていた。
26 それで、イエスはご自分の母とご自分が愛された弟子がそばに立っているのを見て、ご自分の母に言われた。「婦人よ、見なさい、あなたの息子を。」
27 それから、彼はその弟子に言われた。「見なさい、あなたの母を。」そして、その時から、その弟子はマリヤを自分の家に受け入れた。
28 この後、イエスはすべてのことはもう行なわれたとわかって、聖書が成就するために言われた。「わたしは渇く。」
29 そこで、酢①
30 そこで、イエスは酢を受けられて、言われた。「全うした。」そして、頭を下げられ、霊を渡された。
31 さて、準備の日であったから、安息日に十字架の上に遺体が残らないように(その安息日が大いなる日であったから)、ユダヤ人たちは、足を彼らに折ってもらい、そして彼らを取り下ろしてくれるようにとピラトに願った。
32 それで、兵士たちが来て、最初の男と、イエスと共に十字架につけられたもう一人の男の足を折った。
33 しかし、彼らがイエスの所に来た時、イエスはもう死亡しているのを見て、彼の足は折らなかった。
34 しかし、兵士たちの一人が槍でイエスのわき腹を刺したとたん、血と水が出て来た。
35 そして、それを見た者は証言をしてきて、かつ彼の証言は真実である。その者は真実を言うということを知っている。その理由は、あなたがたが信じるためである。
36 なぜなら、「彼の骨は一本も折られることがない。」という聖書が成就されるように、これらのことは行なわれたからである。
37 そして、また聖書の別の箇所が言う。「彼らは自分たちが刺した人を見る。」
38 この後、ユダヤ人たちへの恐れのゆえにひそかにイエスの弟子であったアリマタヤ出身のヨセフは、イエスの遺体を引き取ることを、ピラトに願った。そしてピラトは許した。それで、ヨセフは来て、イエスの遺体を引き取った。
39 そして、かつて夜中にイエスの所に来たニコデモも、没薬とアロエの混ぜ物を百リットラぐらい①
40 それから、彼らはイエスの遺体を受け取り、それを香料と共に亜麻布で巻いた。ユダヤ人の葬りの習慣に従ったのである。
41 さて、イエスが十字架につけられた所に園があった。そして、園には、まだ誰も置かれたことのない、新しい岩穴の墓があった。
42 したがって、ユダヤ人の準備の日のために、彼らはイエスをそこに置いた。その岩穴の墓は近かったからである。